1765年頃、ジョン・コブ様式のジョージ3世ボンブチェスト2
このチェストはペアの1対で天板が異なっています。片方には18世紀に作られたオリジナルの美しいマーケトリー(寄木細工)が施されています。
もう片方には、19世紀に作られたと思われる細工が施されたマホガニーの突板が貼られています。こちらのトップが水などのダメージを受け全く異なる種類の木材、デザインで作りな凹されたと思われます。持ち主がはオリジナルのトップに戻したいとい強い要望があり修復しました。
まず、19世紀のマホガニー主体のベニアの化粧材を全て剥がし、同じデザインのマーケトリーをオリジナルからトレースしベニアを新たにカットし作りました。
次に、マホガニーの天板を取り外し、大きな亀裂を埋めるために木材を膠で接着。
天板の土台を安定させた後、新しく作ったマーケトリー装飾を接着しクリーニング。
その後、色合わせとフレンチポリッシュで仕上げ、傷も付けて修復終了。かなり大掛かりな修復プロジェクトでしたが、持ち主はとても喜んでくれました。
A pair of George III bombe chests circa 1765 in manner of John Cobb 2
This pair of chests had a different top. The one has beautiful marquetry decoration that is the original top.
The other one has mahogany veneer with some inlay works that was probably made in the 19th century.
At first I cut all the veneers to create the same design marquetry except the edge veneer decoration.
And then I take off the mahogany veneer top.
I filled with wood to close this large crack.
After stabilizing the top base, I glued the marquetry veneer.
Then I cut and glue the edge veneers.
After colour matching and polishing.
修復前 ペアのチェストトップですがこちらのトップは後で(19世紀に)作られたものでデザインが異なります
修復中 19世紀に後で作られたトップを剥がします
修復中 真ん中の割れを木材で埋め動きのある部分を膠で接着
修復中 もう一つのオリジナルデザインをトレースし化粧材のベニアをカットして並べていきます
修復中 膠で接着します。バキュームバックに入れて1日おきます。
修復中 ベニアを接着後余った膠をクリーニングして塗装の準備をします。
修復中 色をオリジナルと同じにしてシェラックを使いフレンチポリッシュで仕上げます
修復後 オリジナルのように傷を加えたのでどちらがオリジナルかわからなくなりました。
修復後 トップを作り直したのが左です
修復後 手前が私が作ったもの、奥がオリジナルのトップです。