蘇る美しさ。「THE FORGE」

ようこそ、『THE FORGE』へ。

私たちのWebサイトの名前を初めて目にする方は、なぜ「THE FORGE = 鍛冶屋」なのか、不思議に思われるかもしれません。

THE FORGE―それは、私にとって単なる場所の名前ではなく、イギリスの伝統と歴史の中で、一人の日本人である私の夢と情熱が現実となった、勲章のような場所です。

始まりは、歴史の館 『Burghley House』

物語は、イギリスが誇る壮麗なマナーハウス、Burghley House(バーリー・ハウス)にあります。私は長年にわたり、この歴史ある館内の修復工房で住み込みの仕事を任され、オーナー様や学芸員の方々から高い評価と深い信頼をいただくことができました。

そして、独立の機が熟したとき、私に、Burghley Houseの敷地内にある、かつて鍛冶屋職人が働いていた古い工房跡を、私の新しい工房として使って良いと許可がおりたのです。

長らく使われず眠っていたその場所こそが、The Forge(鍛冶屋工房)でした。

情熱と懐かしさを繋ぐ名前

歴史あるイギリスのマナーハウスの中に、外国人である日本人の私が自分の修復工房を開くことができた。この事実は、私にとって何物にも代えがたい栄誉なことでした。私の技術と誠実さが認められたのではないかと思っています。

工房の住所は「The Forge, Burghley House」。

この言葉には、ゼロから夢を築き上げた強い情熱と、それが現実となった歓びが刻み込まれています。そして今、遠い日本から振り返るとき、それは深い懐かしさと、すべての始まりへの感謝を込められています。

このThe Forgeで培った、イギリスの伝統的なアンティーク修復の知識、長年の経験、そして沢山の美しいアンティークを見て触ってきた美的感性を活かし、修復士としてだけでなく、アンティークディーラーとしても活動しています。

セレクトされた一品一品には、歴史、昔の職人への敬意と、クオリティ、長く使われることで生まれた美を見い出しています。

イギリスで築き上げた経験と人脈を活かし、選び抜いた特別なアンティークの数々を、ここ日本で皆様にお届けします。

THE FORGEは、情熱を込めてアンティークを蘇らせ、次の世代へと繋ぐ場所にしたいと思っています。

バーリーハウスの修復工房『THE FORGE』

物語を宿す美しさ。アンティークがもたらす、心の癒やし。

アンティークの魅力は、単なる「古さ」に留まりません。

それは、遥か昔の歴史の中で培われ、「デザインのユニークさ、そして美しさ」として結晶化したもの。最高の「素材の質の高さ」、そして、惜しみなく注ぎ込まれた「職人の確かな技術と知識」が詰まっているからです。

そして何より、アンティークの最大の魅力は、その「個性」です。

長い間、様々な人の暮らしの中で使われることでついた微かな傷、味わい深いマーク、そして角が取れて丸くなった風合い。これらの痕跡こそが、アンティークならではの独特な雰囲気や個性を生み出しています。

私たちは、この姿を人間になぞらえて考えています。 人間もまた、長い人生の中でチャレンジを重ね、傷つき、角が取れていくことで、独特な個性を持つ、興味深く魅力的な存在へと成熟していきます。

アンティークに刻まれたパティナ(古艶)や傷は、まさにその「人生の証」であり、個性であり、美しさそのものです。

だからこそ私たちは、その歴史を丸ごと受け止め、この美しい個性を完全に取り除くことはいたしません。

アンティークを空間に置くだけで、不思議と雰囲気が和らぎ、心が満たされる。 その深い味わいは、慌ただしい日常に寄り添い、あなただけの空間に確かな「癒やしの効果」をもたらしてくれるでしょう。

壮麗なるエリザベス朝の遺産:バーリー・ハウス

英国の大学を卒業後、私が17年住みながら修復工房「THE FORGE」が活動の拠点のあったバーリー・ハウス(Burghley House)は、イングランドに現存する16世紀の館の中でも、最も大きく、そして最も壮麗な邸宅の一つです。

この類まれな建築物は、エリザベス1世の時代に権力の頂点にあった政治家、ウィリアム・セシル卿(初代バーリー男爵、1520–1598)の野心とビジョンの証として、1555年から1587年にかけて建設されました。セシル卿は女王の主席顧問として絶大な権勢を誇り、バーリー・ハウスは女王への敬意を示すと同時に、自らの地位とセシル家の繁栄を後世に示すための「プロディジー・ハウス(驚異の館)」として設計されました。

現在もセシル家の子孫が居住しており、先代のLady Victoria、Mr. Leathamそして現在の当主であるMiranda RockとOrlando Rockには大変お世話になりました。

ハウスとガーデンの一部が春から秋にかけて一般公開されているので渡英の際には是非見学してみて下さい。